2008.05.20 Tuesday
『少年をいかに罰するか』 宮崎 哲弥、藤井 誠二(著)―読書記録
光市母子殺人事件をめぐる「激論」を収録!「少年」をめぐる法と制度をどうすればいいのか?少年法はどこへ行く?(帯引用)
2000年11月、少年法は半世紀以上ぶりに改正、厳罰化された。そして、少年犯罪をめぐる新たな裁判―2007年5月、光市母子殺人事件の差し戻し審議―が始まった。被告の元少年に対する判決を、日本中が注目している。
「少年は死刑にするべきか・・・・・」。改正少年法の矛盾点と改善案を、評論家とジャーナリストが徹底討論。少年犯罪の実情を公開し、いま何を考えるべきかを探る一冊。(裏表紙引用)
少年をいかに罰するか (講談社+アルファ文庫 G 160-1) 発売日:2007年09月20日 通常価格:¥ 880 (税込) 著者:宮崎 哲弥,藤井 誠二 ページ数:424ページ 出版社:講談社 |
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本書『少年をいかに罰するか』は2001年に施行された改正少年法に先行して出版された『少年の「罪と罰」論』を文庫化するにあたって、「光市母子殺害事件」についての対談を序章という形で追加収録したものである(差し戻し控訴審の判決以前まで)。つまり、その後の少年法の改正点はとくに触れられていない。しかし、少年法自体の問題点の本質、及び日本に住む全ての人が考えるべき「少年犯罪をどう罰するのか」という命題はしっかりと語られているので特に問題はないだろう。少年法の理念からシステム、少年犯罪被害者遺族らが求める「権利」まで、多岐にわたっている。
書籍の形式は、宮崎哲弥、藤井誠二の討論形式となっている。まずは、少年法に入るまでに「少年犯罪は凶悪化しているのか」などの予備知識を「犯罪白書」などの客観的資料を豊富に提供して宮崎哲弥、藤井誠二、ふたりの議論に読者が入っていく土台を作っていく。ワイドショーや週刊誌で語られる「少年犯罪の急増、凶悪化、低年齢化」について、少年事件の個々の事件を検討しても、いまとそれほど違っているという印象は得られない。昔もいまも「不可解な動機」の事件はみられるし、単純な動機の事件もある。
第二章:システム
山形マット死事件の事例などを基に、少年法システムの非常に多くの論点を挙げていく。宮崎哲弥、藤井誠二は、少年法を改正すること自体に反対なのではない。少年犯罪を客観的に精査し、事実認定の厳密性の担保、被害者の立場の確保、罪責の自覚を促す処遇や社会復帰への適切な指導とサポートを含みこんだ改正を望んでいるのである。
第三章:被害者と報道
少年犯罪の報道から犯罪事件についての実名報道の是非を問う。
イギリスなど欧米では、少年事件に関して専門家が集まって国家レベルで情報を管理し、一部のプライバシーを除いて誰でもアクセスできるシステムをつくっている。そこから教訓を導きだし、再発予防につなげていく、という。しかし、日本では公開しないから、少年法の秘密主義の壁に阻まれて、少年犯罪の研究も発展できないし、経験や識見を蓄積して、社会の共有財産にしていくこともできない状況になっている。
全体を通して、ノンフィクションライターである藤井誠二が当事者(多くが少年犯罪被害者)に伴走しながらの綿密な取材の結果、少年をめぐる審判や処遇、裁判などのさまざまな段階で、全く被害者のことを意識していない現状と少年犯罪被害者の主張及び藤井誠二の提言をする。そこを宮崎哲弥が法理論の原則、成人の犯罪とのバランスを補足しながら宮崎哲弥、藤井誠二の考え方を時に一致点もあれば、対立点もある対話を展開する。二人の議論からは少年法の問題に留まらないのではなく、成人にも共通する取調べの問題や、あまりにも裁量の幅の広すぎる条文の文言など、周辺法規・規則を含めた刑事法・刑事手続き全体を抜本的に見直していかないといけないとうことがわかるだろう。
数多くの事件の事例や単語が登場するが、各章の巻末ごとに事件・用語説明が付いており、予備知識がなくても大丈夫な気配りはうれしい。
最後に、山口県光市で1999年4月、母子を殺害したとして殺人と強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(27)に対する差し戻し控訴審で、広島高裁は2008年(平成20年)4月22日、元少年に死刑判決を言い渡した。遺族の本村洋さんは判決を受けて会見をしました。その会見での言葉です。
私はこの事件にあってからいろいろ考えておりますけれど、やはり刑法っていうものは社会秩序を維持するための目的を達するための手段だと思っています。死刑という大変重い判断が下されましたが、これで終わるのではなくて、私たち遺族もこの重い判決を受けて真っ当に生きていかなければいけないと思いますし、社会のみなさまにも、どうすれば犯罪の被害者も加害者も生まない社会を作るのか、どうすればこういう死刑という残虐な、残酷な判決を下さない社会ができるのかを考える契機にならなければ、私の妻と娘も、そして被告人も犬死だと思っています。死刑の存廃等の問題が騒がれるようになるかもしれませんけど、刑罰はどうすれば私たちが安全な環境を作れるかということを考える契機にならなくてはいけないと思いますので、そういった方に社会が向いていくことを望みます。
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■著者はこんな人(プロフィール)■
宮崎哲弥(みやざきてつや)
1962年、福岡県に生まれる。評論家。研究開発コンサルティング・アルターブレイン副代表。慶應大学文学部社会学科卒業。同大学法学部法律学科中退。論檀紙での執筆活動、テレビのコメンテーターやラジオ・パーソナリティーなど、さまざまなメディアで活躍中。政治・社会問題からサブカルチャーまで幅広い分野に精通している。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
藤井誠二(ふじいせいじ)
1965年、愛知県に生まれる。ノンフィクションライター。高校時代からさまざまな社会運動に参加したのち、週刊誌記者を経て現在に至る。当事者に伴走しながらの綿密な取材と調査をもとにした、社会矛盾をえぐるルポルタージュを身上とする。ラジオのパーソナリティーを務める、ほか愛知淑徳大学で教鞭を執る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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